年末から3月中旬のカーニバルの時期まで、世界的に知られるオペラ座舞踏会をはじめとする約450に上る舞踏会がウィーンで開催されます。オーストリアの舞踏会ほど格調高く、ロマンチックに繰り広げられる所はありません。この伝統は、地元の人々だけではなく、旅行者にも一夜の夢では終わらない陶酔を与えてくれます。
オペラ座舞踏会は、もともとハプスブルク家の行事として行われてきました。19世紀を 通してハプスブルク帝国が衰退する中においても舞踏会にかけるウィーン市民の情熱は決して衰えることがなく、1832年の統計によると20万人以上がワルツを踊っていたことになります。これは、当時のウィーン市民の半数にあたり、カーニバル期間中にはなんと772の舞踏会が催されていました。
注目されるのは、今年社交界にデビューする「デビュタント」たち。純白のドレスを着ることができるのは、一生に一度のデビューのときだけです。
かつて皇帝が舞踏会を催したホーフブルク王宮のホールは、現在も最も人気の高い会場となっています。ここではまず、毎年大晦日の夜から元旦にかけて開催さ れる大晦日舞踏会(シルヴェスターバル)に始まり、法服をフラックに替えた法律家がゲストを迎える法曹舞踏会、狩猟家が一斉射撃でゲストを歓迎する狩猟協会舞踏 会、カフェハウス経営者の香り豊かな舞踏会、さらには、深夜まで、女性の側から踊りを申し込むのが習わしになっている学生団体ルドルフィーナの仮面舞踏会 などといった、さまざまな舞踏会が毎週末のように繰り広げられます。
ほかにも、冬の最中に花の舞踏会が開かれる市庁舎は、いち早く春の花園となり、楽友協会大ホールでのウィーン・フィル舞踏会は、同オーケストラとゲストの指揮者がオープニングの曲を演奏します。
優雅なユーゲントシュティル(世紀末建築様式)のコンツェルトハウスのボンボン舞踏会では、チャーミングな淑女とチョコレートが、とびきり甘い一夜の主役 となり、ファンタジックなマジシャン舞踏会では、世界各国からイリュージョンの芸術家が集い、見事なテクニックで、幻惑の世界を繰り広げます。
ウィーンの主な舞踏会予定表: ( )内は会場
2019年
12月31日 王宮大晦日舞踏会 (ホーフブルク王宮)
2020年
1月10日 シュタイヤマルク州出身者の舞踏会 (ホーフブルク王宮)
1月11日 ウィーン経済大学舞踏会 (ホーフブルク王宮)
1月16日 ウィーン菓子職人舞踏会 (ホーフブルク王宮)
1月17日 軍人舞踏会 (ホーフブルク王宮)
1月17日 花の舞踏会 (市庁舎)
1月18日 薬剤師舞踏会 (ホーフブルク王宮)
1月23日 ウィーンフィル舞踏会 (楽友協会)
1月25日 ウィーン医師会舞踏会 (ホーフブルク王宮)
1月25日 学術界舞踏会 (市庁舎)
1月25日 レインボー舞踏会 (パークホテル・シェーンブルン)
1月25日 工業界/技術者舞踏会 (楽友協会)
1月27日 狩猟協会舞踏会 (ホーフブルク王宮)
1月30日 技術者舞踏会 (ホーフブルク王宮)
1月31日 農業大学舞踏会 (ホーフブルク王宮)
2月8日 ウィーン経済界舞踏会 (ホーフブルク王宮)
2月14日 カフェオーナー舞踏会 (ホーフブルク王宮)
2月15日 ヨハン・シュトラウス舞踏会 (クアサロン)
2月20日 オペラ座舞踏会 (国立歌劇場)
2月21日 建築不動産業界舞踏会 (ホーフブルク王宮)
2月21日 お菓子舞踏会 (コンツェルトハウス)
2月22日 法曹界舞踏会 (ホーフブルク王宮)
2月24日 ルドルフィーナ仮面舞踏会 (ホーフブルク王宮)
2月25日 エルマイヤーダンススクール舞踏会 (ホーフブルク王宮)