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山麓の春 桜と古刹を訪ねて
コンシェルジュ : 細谷 健一
【2006年5月12日[Fri]】
山麓の春 桜と古刹を訪ねて
注連寺の桜がみたい!昔、家族旅行で行った注連寺、その境内にある桜が急に懐かしくなり、既に散っているだろうと思いつつも問い合わせてみたところ、なんと丁度見ごろを向かえていたのだ。今年は寒さが厳しかった為に開花が5月中旬まで遅れたようだ。今週末の天候は?どうやら今日の午後から崩れるらしい… という訳で仕事を措いて行ってしまった。
注連寺とは山形県鶴岡市の東、月山の麓にある真言宗湯殿山派大本寺で作家・森敦の小説『月山』(映画化もされた)の舞台となった寺である。
直ぐ近くある東北一の名刹、大日坊とあわせて月山山麓の遅い春を訪ねてみた。
月山山麓にもようやく遅い春がきたようだ。ブナの若葉がすこしづつ芽吹き始めてきた。来週あたりがブナ林残雪トレッキングに丁度いいかもしれない。
道路に車を止め少しだけブナ林へ入る。
【大日坊】
東北一の名刹とはいえ、写真を見るかぎりではさほど大きい本堂でも
ないのが分かるだろうか。この本堂、実は仮屋なのだ。
大日坊、正式には「湯殿山龍水寺金剛院」という。西暦807年、弘法大師空海の開基にて、伊勢、熊野と並び日本三大霊場のひとつに数えられ「聞かば語るな、語らば聞くな」と厳しい戒律のもと神秘のベールに包まれてきた寺だ。
江戸時代には仙台の伊達藩、徳川将軍家の祈願寺として、京都の三十三間堂を凌ぐ間口四十二間、巾十二間という日本最大の大伽藍の建立へと発展するが、明治時代、政府の廃仏毀釈に最後まで抵抗し仏法を守りとおした為に本堂が焼かれ貴重な遺産が焼失してしまうなどの悲運に遭遇してしまう。その後、画像のように仮住まいのまま、今に至っているが、生きる者の祈願時として現在も尚、全国各地からここを訪れる人は後を絶えない。最近では英国BBCや韓国KBSでも取材が入るなど、外国からの参拝者も増えてきているという。
大日坊ホームページ
大日坊と注連寺がある鶴岡市(旧朝日村)大網地区
【注連寺】
大日坊とともに、弘法大師が開いた出羽三山域の古刹である。湯殿山が女人禁制であったころ、注連寺では特に女性をあわれみ、胎蔵界曼陀羅大日如来を本尊として女性にも祈祷を行い、お注連(しめ)をいただけるようにしたのが寺の名と、桜木の名前の由来であるという。近年では作家の森敦がここを訪れ、一冬をすごした体験をもとに書いた、人間の生と死を見つめた小説『月山』が芥川賞を受賞。森敦への顕彰の意を込めて、境内には生原稿やゆかりの品を展示した「森敦文庫」と「文学碑」がある。
【七五三掛桜 (しめかけざくら)】
映画『遠野物語』では幻想的に映し出され、また弘法大師がこの桜の下で修行されたという七五三掛桜は、白と桃の二色の花を時期を違えてつける不思議な魅力を醸し出している桜木だ。
この桜を見たのは今日で2度目、前回は小学校の3~4年生のころだから、もう30年近くも前になるだろうか。この桜を見るために家族全員でやって来た時だ。今では90分ほどで来れるこの場所も、子どもの頃は大旅行に思えたものだ。
もうあの時のように家族みんなで来ることはできないが、二十数年ぶりに見る桜木は昔と全く変わっていないように思えた。樹齢数百年というこの老桜木にとっては二十数年なんてほんの僅かな時間なのだろう。
「願わくは花のもとにて春死なむ その如月の望月の頃」
どこからか春風が運んできたのだろうか、桜の下で西行が詠んだというこの歌を、懐かしい記憶とともに思い出すと、まるでタイムスリップでもしたかのように、あの時の自分と家族を直ぐ近くに感じるような懐かしい時間を過ごすことができた。
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山麓の春 桜と古刹を訪ねて
注連寺とは山形県鶴岡市の東、月山の麓にある真言宗湯殿山派大本寺で作家・森敦の小説『月山』(映画化もされた)の舞台となった寺である。
直ぐ近くある東北一の名刹、大日坊とあわせて月山山麓の遅い春を訪ねてみた。
月山山麓にもようやく遅い春がきたようだ。ブナの若葉がすこしづつ芽吹き始めてきた。来週あたりがブナ林残雪トレッキングに丁度いいかもしれない。
道路に車を止め少しだけブナ林へ入る。
【大日坊】
東北一の名刹とはいえ、写真を見るかぎりではさほど大きい本堂でも
ないのが分かるだろうか。この本堂、実は仮屋なのだ。
大日坊、正式には「湯殿山龍水寺金剛院」という。西暦807年、弘法大師空海の開基にて、伊勢、熊野と並び日本三大霊場のひとつに数えられ「聞かば語るな、語らば聞くな」と厳しい戒律のもと神秘のベールに包まれてきた寺だ。
大日坊ホームページ
大日坊と注連寺がある鶴岡市(旧朝日村)大網地区
【注連寺】
大日坊とともに、弘法大師が開いた出羽三山域の古刹である。湯殿山が女人禁制であったころ、注連寺では特に女性をあわれみ、胎蔵界曼陀羅大日如来を本尊として女性にも祈祷を行い、お注連(しめ)をいただけるようにしたのが寺の名と、桜木の名前の由来であるという。近年では作家の森敦がここを訪れ、一冬をすごした体験をもとに書いた、人間の生と死を見つめた小説『月山』が芥川賞を受賞。森敦への顕彰の意を込めて、境内には生原稿やゆかりの品を展示した「森敦文庫」と「文学碑」がある。
【七五三掛桜 (しめかけざくら)】
映画『遠野物語』では幻想的に映し出され、また弘法大師がこの桜の下で修行されたという七五三掛桜は、白と桃の二色の花を時期を違えてつける不思議な魅力を醸し出している桜木だ。
この桜を見たのは今日で2度目、前回は小学校の3~4年生のころだから、もう30年近くも前になるだろうか。この桜を見るために家族全員でやって来た時だ。今では90分ほどで来れるこの場所も、子どもの頃は大旅行に思えたものだ。
「願わくは花のもとにて春死なむ その如月の望月の頃」
どこからか春風が運んできたのだろうか、桜の下で西行が詠んだというこの歌を、懐かしい記憶とともに思い出すと、まるでタイムスリップでもしたかのように、あの時の自分と家族を直ぐ近くに感じるような懐かしい時間を過ごすことができた。