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南の国のクリスマス
コンシェルジュ :
深山 哲夫
【2006年12月24日[Sun]】
南の国のクリスマス
日本を離れチリを旅して3ヶ月が経った頃、クリスマスの季節がやってきた。
海外で年末年始を迎えるのは初めて。
南半球なので、夏のクリスマス・夏のお正月だ。
12月に入ると気が付けば、通りがかるどこの家にも、
玄関の扉や窓辺にかわいらしいクリスマスの飾りがぶら下がっている。
部屋の中にもうっすらとクリスマスツリーも見える。
決して派手ではなく、さりげなく飾られた家々を見ると、
ほっこりと温かい気持ちになる。
日本に居ると年々、クリスマスというものは、
自分にはあまり関係ないもののような気がしていた。
でも本当は、クリスマスはイエス様がみんなにくれた幸福な日のはず。
家族や友達と色々な事に感謝しながら、静かに祝い合うものだと思う。
キリスト教の南米の国々では皆どのように過ごすのか。
街はどんな風になるのかなど、ぜひ見てみたいと思い、
クリスマスや新年をどこで迎えようかを計画したりしていた。
しかし自転車の旅というものは、計画通りに進むということは、まず無理だ。
(特にノロマな私達の場合には!)
行程はどんどん遅れ、クリスマスまでに街に到着するという計画は、
いとも簡単に崩れ去った。
12/22にチリのチロエ島の南端の町ケジョンから船で本土のチャイテンに渡り、
森林地帯に伸びる人里少ないアウストラル街道を、
約10日間走り続けることになった。
すれ違う車は1日に数えるほどで、時折馬に乗る地元の人とすれ違う。
誰にも邪魔されることなく、静かに山の景色を楽しみながら、
自転車旅をたっぷりと味わうことができる。
所々で小さな集落があり、民宿に泊まることができるが、
それ以外の半分以上は橋の下などでのキャンプ。
川は清流ばかりなのでキャンプにはもってこいだ。
そんな中、小さな集落サンタ・ルシア(人口たぶん200~300人)の小さな民宿に、
12/24の夜に何とか泊まることができた。
集落の通りは人気がなく、ひっそりとしている。
何かクリスマスならではの光景を見ることができるのだろうか。
宿の家族のクリスマスの温かな一家団らんの様子くらいは見れるだろうと期待した。
夕方頃、斜め向かいの教会らしき建物から、電子オルガンのチープな音で、
クリスマスの曲が流れ出した(ぜんぜん厳かな感じじゃない)。
しかし人が出入りする気配もなく、その音楽(たぶんテープ)以外は相変わらずで、
村はひたすらひっそりとしたままだった。
レストランなどは無いので、とりあえず私達は宿で台所を借り、
調達できた数少ない食材で簡単なパスタを作り、お腹を膨らませた。
(飲みたかったビールも売ってなくてがっかり)
結局夜になっても思い描いていたような、ご馳走を囲んだ団らんも、
全く行われる様子もなく静かに1日が終わってしまい、拍子抜けだった。
もしかして25日だった方が良かったのだろうか。
翌朝、一晩中飲んでいたらしき酒臭い若い男2人が現れ、
宿のお調子者のおばさんとはしゃぎ始めた。
3人とも酔っぱらいそのもの。下品な感じで、うるさい!
静まりかえる通りで、自転車で出発しようとする私達にもからんで来た。
何だか夢を壊され、裏切られた気分だった。
「酔っぱらいー!」と叫びながら宿を後にした。
どうなっているんだ!この村は。
25日は川辺でキャンプし、お決まりの雑炊の夕食を食べ、
翌日の26日、次の小さな町、ラ・フンタに到着した。
ここで泊まった宿では、家族の夕食風景を見かけた。
クリスマスの名残りかテーブルいっぱいにご馳走が並び、ものすごく美味しそう。
まさに思い描いたクリスマスの憧れの光景だ。
でもあまりジロジロと見るわけにもいかないので、
ご馳走の内容までは観察できなかったが、
翌朝、宿のおばさんが用意してくれた朝食が素晴らしかった!
薪オーブンで焼いた自家製パンが美味しく、
地元産のまろやかなチーズとともに、
手作りのクリスマス用のお菓子(フルーツ入りのケーキとクッキー)
まで出してくれて、もう感激。
ここの家族はとても温かで、何かと親切にしてもらった。
派手な街の様子などは見れなかったけど、
やっとクリスマスを味わえたような気がした。
短波ラジオで電波の悪い紅白歌合戦を聴き日本を懐かしみながら、
見晴らしの素晴らしい丘の上で年越しキャンプをして、
暑くて夏ばて気味になった元旦の午後にようやく、
チリ側パタゴニア有数の街コジャイケにたどり着いた。
滞在させてもらった家の居間には、大きな大きなクリスマスツリーがあった。
1月に入って何日経っても相変わらず、どの家にもクリスマスの飾り付けが見える。
日本とは違い、クリスマスを「静かに長く祝っている」という感じがした。
(夏にサンタさんの飾りはさすがに暑苦しいが・・・。)
とりあえずクリスマスは、国によっての習慣の違いもあれば、
人によってもずいぶんと過ごし方は違うようだ。
でもやはり「ご馳走を囲んで団らん」の美味しくて温かいクリスマスが一番!
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南の国のクリスマス
日本を離れチリを旅して3ヶ月が経った頃、クリスマスの季節がやってきた。
海外で年末年始を迎えるのは初めて。
南半球なので、夏のクリスマス・夏のお正月だ。
12月に入ると気が付けば、通りがかるどこの家にも、
玄関の扉や窓辺にかわいらしいクリスマスの飾りがぶら下がっている。
部屋の中にもうっすらとクリスマスツリーも見える。
決して派手ではなく、さりげなく飾られた家々を見ると、
ほっこりと温かい気持ちになる。
日本に居ると年々、クリスマスというものは、
自分にはあまり関係ないもののような気がしていた。
でも本当は、クリスマスはイエス様がみんなにくれた幸福な日のはず。
家族や友達と色々な事に感謝しながら、静かに祝い合うものだと思う。
キリスト教の南米の国々では皆どのように過ごすのか。
街はどんな風になるのかなど、ぜひ見てみたいと思い、
クリスマスや新年をどこで迎えようかを計画したりしていた。
しかし自転車の旅というものは、計画通りに進むということは、まず無理だ。
(特にノロマな私達の場合には!)
行程はどんどん遅れ、クリスマスまでに街に到着するという計画は、
いとも簡単に崩れ去った。
12/22にチリのチロエ島の南端の町ケジョンから船で本土のチャイテンに渡り、
森林地帯に伸びる人里少ないアウストラル街道を、
約10日間走り続けることになった。
すれ違う車は1日に数えるほどで、時折馬に乗る地元の人とすれ違う。
誰にも邪魔されることなく、静かに山の景色を楽しみながら、
自転車旅をたっぷりと味わうことができる。
所々で小さな集落があり、民宿に泊まることができるが、
それ以外の半分以上は橋の下などでのキャンプ。
川は清流ばかりなのでキャンプにはもってこいだ。
そんな中、小さな集落サンタ・ルシア(人口たぶん200~300人)の小さな民宿に、
12/24の夜に何とか泊まることができた。
集落の通りは人気がなく、ひっそりとしている。
何かクリスマスならではの光景を見ることができるのだろうか。
宿の家族のクリスマスの温かな一家団らんの様子くらいは見れるだろうと期待した。
夕方頃、斜め向かいの教会らしき建物から、電子オルガンのチープな音で、
クリスマスの曲が流れ出した(ぜんぜん厳かな感じじゃない)。
しかし人が出入りする気配もなく、その音楽(たぶんテープ)以外は相変わらずで、
村はひたすらひっそりとしたままだった。
レストランなどは無いので、とりあえず私達は宿で台所を借り、
調達できた数少ない食材で簡単なパスタを作り、お腹を膨らませた。
(飲みたかったビールも売ってなくてがっかり)
結局夜になっても思い描いていたような、ご馳走を囲んだ団らんも、
全く行われる様子もなく静かに1日が終わってしまい、拍子抜けだった。
もしかして25日だった方が良かったのだろうか。
翌朝、一晩中飲んでいたらしき酒臭い若い男2人が現れ、
宿のお調子者のおばさんとはしゃぎ始めた。
3人とも酔っぱらいそのもの。下品な感じで、うるさい!
静まりかえる通りで、自転車で出発しようとする私達にもからんで来た。
何だか夢を壊され、裏切られた気分だった。
「酔っぱらいー!」と叫びながら宿を後にした。
どうなっているんだ!この村は。
25日は川辺でキャンプし、お決まりの雑炊の夕食を食べ、
翌日の26日、次の小さな町、ラ・フンタに到着した。
ここで泊まった宿では、家族の夕食風景を見かけた。
クリスマスの名残りかテーブルいっぱいにご馳走が並び、ものすごく美味しそう。
まさに思い描いたクリスマスの憧れの光景だ。
でもあまりジロジロと見るわけにもいかないので、
ご馳走の内容までは観察できなかったが、
翌朝、宿のおばさんが用意してくれた朝食が素晴らしかった!
薪オーブンで焼いた自家製パンが美味しく、
地元産のまろやかなチーズとともに、
手作りのクリスマス用のお菓子(フルーツ入りのケーキとクッキー)
まで出してくれて、もう感激。
ここの家族はとても温かで、何かと親切にしてもらった。
派手な街の様子などは見れなかったけど、
やっとクリスマスを味わえたような気がした。
短波ラジオで電波の悪い紅白歌合戦を聴き日本を懐かしみながら、
見晴らしの素晴らしい丘の上で年越しキャンプをして、
暑くて夏ばて気味になった元旦の午後にようやく、
チリ側パタゴニア有数の街コジャイケにたどり着いた。
滞在させてもらった家の居間には、大きな大きなクリスマスツリーがあった。
1月に入って何日経っても相変わらず、どの家にもクリスマスの飾り付けが見える。
日本とは違い、クリスマスを「静かに長く祝っている」という感じがした。
(夏にサンタさんの飾りはさすがに暑苦しいが・・・。)
とりあえずクリスマスは、国によっての習慣の違いもあれば、
人によってもずいぶんと過ごし方は違うようだ。
でもやはり「ご馳走を囲んで団らん」の美味しくて温かいクリスマスが一番!
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