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カトマンズ-生き神クマリ
コンシェルジュ : 渋谷 明子
【2007年1月9日[Tue]】
カトマンズ-生き神クマリ
ネパールには、生き神クマリが存在する。
クマリの誕生は、謎に包まれている。
カトマンズのラッサ王朝の最後の王、マッラ王の時代に始まったといわれている。
絵ハガキの写真から・・
クマリに関しては、いくつかの言い伝えがある。
マッラ王が幼児愛症者であり、そのせいで、ある思春期前の少女を死なせてしまった。その罪の償いに若い娘を生き神として崇拝するようになったという話。
また、別の話しでは、
1人の少女が大女神ドゥルガに取り付かれ、王国から追放された。
これを知った女王が、その少女を連れ戻すように指示し、真の女神として崇めるようになったという話。
でも、もう一つの説が一般的なようだ。
カトマンズ盆地の王が、ネパールの国の守護女神タレジュとサイコロ遊びを
楽しんでいたとき、王は赤い衣装を身にまとい輝くように美しい女神に心が乱れてしまった。そんな王の心を見抜いた女神は「王朝の終焉は近い」と言い残し、姿を消す。慌てた王は、司祭を通じて祈りを捧げ、タレジュは、
「もう一度会いたいと望むのであれば、サキャカーストの美しく穢れのない、
32の条件を備えた幼ない純潔の少女を選び、崇めなさい。
その中に宿り、そなたと会うこととしよう。」と告げる。
王は、すぐにその条件を満たす少女を探し出し、クマリとして崇拝し始めた。
クマリには、そのタレジュ女神が宿るといわれています。
言い伝えの通り、サキャ・カーストの3、4歳の少女の中から選ばれます。
絵ハガキの写真から・・
少し微笑んでいるような表情に何故かホっとした。
32の条件とは、
手はやわらかく繊細なこと。獅子のような胸。青または黒の目。牛のようなまつ毛。
雀のような低い声。黄金に輝く美しい影。死んだ水牛の首を見せられても平然としていられること。その条件を満たしているかどうか、ヒンドゥー教の司祭と仏教の高僧5人が判定し、クマリは選ばれます。
選ばれた少女は、生き神クマリとしてクマリ館に住み、
神としてのふるまい方を教えこまれ、日々、人々の願望成就を祈ります。
クマリはカトマンズだけでなく、パタンやバクタプルにも存在するのですが、
カトマンズのクマリは国の運命に関する予言を行うと言われており、
国王さえもひざまづく、といわれています。
そして、12,13歳で初潮を迎えるまで生き神として生き、9月に行われるインドラ・ジャトラの祭りのとき以外、館から外に出ることはないのです。
絵ハガキの写真は、お祭りのときのクマリです。
普段は祈りを捧げるとクマリ館から顔をちらっとのぞかせてくれることがあるようですが、そのときクマリの写真を撮ることは許されていません。
ケガや初潮による出血がみられると次の新しいクマリに交代するのですが、
早ければ4歳くらいからクマリとなった少女が、今までほとんど経験のない通常の生活に戻らねばならない。想像もできない苦悩が待っているのだと思います。
実際、クマリの館に行ってみると、館の前にはクマリの写真を売るおばさん達。
中庭に入るのは無料なのに料金を取ろうとする人達がいました。
(壁には「彼らにお金を払う必要はない」というような旨の注意書きがありました。)
あまり近くで撮影はダメかも・・と思い、遠くから撮ったので小さくてすみません。
建物は思った以上に小さく、そして古かった。
このような場所に物心つく前に連れてこられて、言われるままに数年を生きて、
そして、それまで知らなかった世界にいきなり連れ出されるんだ・・
簡単な言葉では言い表せない重い気持ちが残りました。
でも、、
生活の中に「祈り」がある国だということを、半日カトマンズを歩いただけでも感じることができた。科学的に実証は出来ないけれど、祈りとか、念とか、そういうものが何かを引き起こす力は、本当にあり得るんじゃないか・・
ネパールにいると、そういう精神世界の存在を信じられるような気が・・。
今や世界の主な都市、何処に行っても、スターバックスにマクドナルドがあるけれど、ここにそういったものはない。独自の文化と思想と景観を保っている世界でも稀な、とても貴重な国だと感じた。
偉大なヒマラヤに見守られ、生き神という存在を持ち続けているネパールに、
どんどん引き込まれる自分がいた。
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カトマンズ-生き神クマリ
クマリの誕生は、謎に包まれている。
カトマンズのラッサ王朝の最後の王、マッラ王の時代に始まったといわれている。
絵ハガキの写真から・・
クマリに関しては、いくつかの言い伝えがある。
マッラ王が幼児愛症者であり、そのせいで、ある思春期前の少女を死なせてしまった。その罪の償いに若い娘を生き神として崇拝するようになったという話。
また、別の話しでは、
1人の少女が大女神ドゥルガに取り付かれ、王国から追放された。
これを知った女王が、その少女を連れ戻すように指示し、真の女神として崇めるようになったという話。
でも、もう一つの説が一般的なようだ。
カトマンズ盆地の王が、ネパールの国の守護女神タレジュとサイコロ遊びを
楽しんでいたとき、王は赤い衣装を身にまとい輝くように美しい女神に心が乱れてしまった。そんな王の心を見抜いた女神は「王朝の終焉は近い」と言い残し、姿を消す。慌てた王は、司祭を通じて祈りを捧げ、タレジュは、
「もう一度会いたいと望むのであれば、サキャカーストの美しく穢れのない、
32の条件を備えた幼ない純潔の少女を選び、崇めなさい。
その中に宿り、そなたと会うこととしよう。」と告げる。
王は、すぐにその条件を満たす少女を探し出し、クマリとして崇拝し始めた。
クマリには、そのタレジュ女神が宿るといわれています。
言い伝えの通り、サキャ・カーストの3、4歳の少女の中から選ばれます。
絵ハガキの写真から・・
少し微笑んでいるような表情に何故かホっとした。
32の条件とは、
手はやわらかく繊細なこと。獅子のような胸。青または黒の目。牛のようなまつ毛。
雀のような低い声。黄金に輝く美しい影。死んだ水牛の首を見せられても平然としていられること。その条件を満たしているかどうか、ヒンドゥー教の司祭と仏教の高僧5人が判定し、クマリは選ばれます。
選ばれた少女は、生き神クマリとしてクマリ館に住み、
神としてのふるまい方を教えこまれ、日々、人々の願望成就を祈ります。
クマリはカトマンズだけでなく、パタンやバクタプルにも存在するのですが、
カトマンズのクマリは国の運命に関する予言を行うと言われており、
国王さえもひざまづく、といわれています。
そして、12,13歳で初潮を迎えるまで生き神として生き、9月に行われるインドラ・ジャトラの祭りのとき以外、館から外に出ることはないのです。
絵ハガキの写真は、お祭りのときのクマリです。
普段は祈りを捧げるとクマリ館から顔をちらっとのぞかせてくれることがあるようですが、そのときクマリの写真を撮ることは許されていません。
ケガや初潮による出血がみられると次の新しいクマリに交代するのですが、
早ければ4歳くらいからクマリとなった少女が、今までほとんど経験のない通常の生活に戻らねばならない。想像もできない苦悩が待っているのだと思います。
実際、クマリの館に行ってみると、館の前にはクマリの写真を売るおばさん達。
中庭に入るのは無料なのに料金を取ろうとする人達がいました。
(壁には「彼らにお金を払う必要はない」というような旨の注意書きがありました。)
あまり近くで撮影はダメかも・・と思い、遠くから撮ったので小さくてすみません。
建物は思った以上に小さく、そして古かった。
このような場所に物心つく前に連れてこられて、言われるままに数年を生きて、
そして、それまで知らなかった世界にいきなり連れ出されるんだ・・
簡単な言葉では言い表せない重い気持ちが残りました。
でも、、
生活の中に「祈り」がある国だということを、半日カトマンズを歩いただけでも感じることができた。科学的に実証は出来ないけれど、祈りとか、念とか、そういうものが何かを引き起こす力は、本当にあり得るんじゃないか・・
ネパールにいると、そういう精神世界の存在を信じられるような気が・・。
今や世界の主な都市、何処に行っても、スターバックスにマクドナルドがあるけれど、ここにそういったものはない。独自の文化と思想と景観を保っている世界でも稀な、とても貴重な国だと感じた。
偉大なヒマラヤに見守られ、生き神という存在を持ち続けているネパールに、
どんどん引き込まれる自分がいた。
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