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コンシェルジュブログ

コンシェルジュ : 渋谷 明子
【2007年1月4日[Thu]】

ネパールの山の暮らしを感じられる映画

映画「キャラバン」

ネパールは、なんとも不思議な魅力のある国なようで、
帰国後、さらに惹きつけられている。

どうしても、もう一度あの山を感じたくて、探して出会った映画。
ネパールの山を感じたい人にお勧めだ。



舞台は北ネパールのドルポ。
街から、山道を徒歩で3週間かけてやっとたどり着ける標高4600mにある村。

この村では、冬が来る前に、街まで塩を持って、麦と交換しに行く。
ヤクの背中に塩を積み、山を越えていく、それがキャラバン。

映画のストーリーは、キャラバンの次期リーダーをめぐるいろいろなのだけど、
この映画の素晴らしいところは、
実際に存在する村で、実際にそこに住む村人たちが演じているところだ。

20年前、この地を訪れたエリック・ヴァリ監督は、どこの国の影響も受けていない
独特の文化を持ち続けているドルポの人々の暮らしに感銘を受けたという。
まるで、中国の影響を受ける前のチベットのようだ、とも話している。

ネパールは、中国と接しながらも、中国の影響を受けていない珍しい国。
ヒマラヤにより、彼らの文化は守られてきた。

長老ティンレを演じているツェリン・ロンドゥップは、
20年間、監督と親交を深め、

「雪が太陽の光のもとで溶けて流れてしまうように、伝統が溶けて流れてしまう前に、私達の伝統の証明として、この映画を製作しよう。」

と、映画製作に協力した。

実際に僧であり、映画の中でも登場する僧の言葉・・

「自分の前に2つの道が開けているなら、そしてあなたが心身ともに健康であるなら、難しいほうの道、あなたが最善を尽くさねばならないであろう道を選びなさい。」

心に残るメッセージだ。

3週間山の中を歩くしか移動手段のないこの村まで、
いったいどうやって撮影機材を運んだのだろう?
撮影にあたって、歩いた距離1200キロ。
標高5000m以上の峠を21回越えたと監督は話している。

撮る側も、撮られる側も、この文化を残したいという強い願いを持って
作り上げた作品であることが伝わってくる。

映画のストーリーを追うのではなく、
映像の中にあるネパールの大自然を感じてほしい。
人々の暮らし、何百というヤクの群を率いるキャラバン、

あまりに日本の暮らしと違いすぎて、
それが、今もなお実際にある生活なのだということは、
なかなか信じられないかもしれない。

映画の中に出てくる少年の夢は、
「カトマンズの街に出て、自分と共に生きる人々が、近い将来体験することになるであろう大きな変化に対応できるよう勉強すること。」だと言う。

ネパールの山の中に住む、まだまだ小さな子供が、
こんな使命感を持って生きている。

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