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Ma6 スカウ・リヴァークルーズ
コンシェルジュ : 小宮 俊一
【2008年3月9日[Sun]】
Ma6 スカウ・リヴァークルーズ
東京ぶんぶん’99,10,24 ボルネオ島サバ州の北東に位置する「スカウ村」は、サンダカンの南、キナバタンガン川下流にあり、ジャングル・リバークルーズの拠点になっている。
10月の中旬、ぼくは一人、サンダカン発のスカウ村ネイチャーツアーに参加した。メンバーは、英国、ドイツ、スイスなど、老若男女が10人余り。1泊2日の行程で、到着後の夕方にテングザルなどの野生動物を観察し、翌朝に、ホーンビル等のバードウォッチングを楽むスケジュールである。
10月12日の朝、サンダカンを出発。スカウ村まではワゴンと小型船で2時間余り。キナバタンガン川を遡りようやくスカウ村に到着する。川べりには簡素なドミトリー用のコテージと、三角屋根のシャレー群が建ち並んでいる。ぼくはシャレー棟の一角にある清潔なキングサイズベッドの部屋に落ち着いた。
数あるネイチャーツアーの中でもスカウ村は、特に鳥と動物が多い場所で、1年を通じその姿が確認されている。来訪者のピークは5月から9月。10月の中旬になると、一般客は少なくなり、ネイチャーツアーマニアだけが訪れる。
昼食としばらくの休憩後、集合の鐘が鳴り、探検用の小型ボートに4,5人ずつ乗り込む。午後5時過ぎ、ジャングルに住むテングザルを観察する為に小型ボートに分乗し出発する。スカウ村の裏手の小川を静かにボートが進んでいく。ジャングルを抜ける風はすがすがしく、空気は透明である。大自然の中で秘やかに息づく野生動物を探索し、心ゆくまでワイルドライフを楽しむのだ。
夕闇がせまる中、レンジャーの先導でポイントに到着する。うす暗い木陰に、母猿が小猿を抱きながら食事をしている。突然、無言でレンジャーが木のてっぺんを指さす。ジャイアンと呼ばれるボス猿が天狗鼻を揺らし、こちらを見下ろしている。股間の象徴を隆々と立てたまま、樹上にどっかりと佇んでいた。
翌朝、夜明け前のバードウォッチングは神聖な儀式である。レンジャーの先導のもと、キナバタンガン川を遡り、上流の森の中でホーンビルを探す。小一時間、支流の小川に入り、幾つかのクリークを抜け、船をゆっくりと進める。
「ギャーッ、ギャーッ」
突然、鳴き声と共に、つがいのホーンビルが樹幹から羽ばたき、一匹づつ、赤紫色の空を北から西へ飛んで行く。スカウ村の上流、キナバタンガン川の遙か東の空にオレンジ色の朝日が昇り始める。緑黒色のジャングルは、朝もやの中でまだしばらくは眠ったままである。(完)
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10月の中旬、ぼくは一人、サンダカン発のスカウ村ネイチャーツアーに参加した。メンバーは、英国、ドイツ、スイスなど、老若男女が10人余り。1泊2日の行程で、到着後の夕方にテングザルなどの野生動物を観察し、翌朝に、ホーンビル等のバードウォッチングを楽むスケジュールである。
10月12日の朝、サンダカンを出発。スカウ村まではワゴンと小型船で2時間余り。キナバタンガン川を遡りようやくスカウ村に到着する。川べりには簡素なドミトリー用のコテージと、三角屋根のシャレー群が建ち並んでいる。ぼくはシャレー棟の一角にある清潔なキングサイズベッドの部屋に落ち着いた。
数あるネイチャーツアーの中でもスカウ村は、特に鳥と動物が多い場所で、1年を通じその姿が確認されている。来訪者のピークは5月から9月。10月の中旬になると、一般客は少なくなり、ネイチャーツアーマニアだけが訪れる。
昼食としばらくの休憩後、集合の鐘が鳴り、探検用の小型ボートに4,5人ずつ乗り込む。午後5時過ぎ、ジャングルに住むテングザルを観察する為に小型ボートに分乗し出発する。スカウ村の裏手の小川を静かにボートが進んでいく。ジャングルを抜ける風はすがすがしく、空気は透明である。大自然の中で秘やかに息づく野生動物を探索し、心ゆくまでワイルドライフを楽しむのだ。
夕闇がせまる中、レンジャーの先導でポイントに到着する。うす暗い木陰に、母猿が小猿を抱きながら食事をしている。突然、無言でレンジャーが木のてっぺんを指さす。ジャイアンと呼ばれるボス猿が天狗鼻を揺らし、こちらを見下ろしている。股間の象徴を隆々と立てたまま、樹上にどっかりと佇んでいた。
翌朝、夜明け前のバードウォッチングは神聖な儀式である。レンジャーの先導のもと、キナバタンガン川を遡り、上流の森の中でホーンビルを探す。小一時間、支流の小川に入り、幾つかのクリークを抜け、船をゆっくりと進める。
「ギャーッ、ギャーッ」
突然、鳴き声と共に、つがいのホーンビルが樹幹から羽ばたき、一匹づつ、赤紫色の空を北から西へ飛んで行く。スカウ村の上流、キナバタンガン川の遙か東の空にオレンジ色の朝日が昇り始める。緑黒色のジャングルは、朝もやの中でまだしばらくは眠ったままである。(完)
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