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コンシェルジュブログ

コンシェルジュ : 菅澤 彰子
【2009年1月10日[Sat]】 海外

Felice 2009 ☆イタリア冬のバカンス明け!


夜中に魔女が来て、イタリアの休暇が明けた☆

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エピファニア、通称「ベファーナ」の祭りである

イタリアの子供たちにとって
「バッボ・ナターレ」というサンタクロースは
むしろ近代的な存在で
そもそも「ベファーナ」が贈り物を持ってくるのだった

醜いけれど、心優しき老婆の魔女である

箒(ほうき)にまたがり
良い子たちにはキャンディーを
悪い子たちには真っ黒けの炭(すみ)をもたらす

子供たちはベファーナを待って
暖炉に靴下を下げておく・・・

ちょっと空想してみるだけで
ドキドキする存在だ☆

上の写真は、友人たちが主催した
あるイベントのポスターの部分を拝借した
キャッチコピーは「ベファーナがやってくる」


1月6日のベファーナを最後に明けた休暇は
ナターレ(クリスマス)直前に始まっている

今シーズンは曜日の関係で
12月20日に始まったところが多い

今では商業的な意味合いが強くなったが
伝統的カトリックの国イタリアで
「キリストの誕生を祝う祭り=ナターレ」は
文化形成において重要な役割りを担ってきた

日本でも師走は忙しい季節だが
イタリアもナターレまでは大忙しだ

ナターレはひとつの区切りであり原動力である
「ナターレに向けて何かをする」ことは多い


その忙しい時期に一本の珍しい電話があった

北部エミリャ・ロマーニャ州の
イタリアを代表する美しい中規模の都市
パルマからである                →昨年パルマに行ったのはHさん

品の溢れるイタリア語で話す
老年の紳士の声は、誰かすぐにわかった

!!!

以前、この人の文章を翻訳したことがあった
一年半以上も前のことだ

その仕事がいよいよ印刷にこぎつけて
東京からイタリアに居る
私たちの手元へ送られてきた

素晴らしい出来栄えだ!☆
建築・都市学の専門家向けの研究書である


↑ 文部科学省学術研究高度化推進事業「学術フロンティア」と
法政大学大学院が共同で設立した任期付きの研究所
「エコ地域デザイン研究所」から2008年7月に刊行された報告書


私の翻訳したのは齢(よわい)70を超えた
イタリア人建築家の大論考である

新築作品の制作やレスタウロ(修復)も行う建築家だが
そのベースとして、ものすごい理論家である

歴史家であり、評論家であり
都市計画にも携わる

理論家だけれどもやはり作家(作品をつくる人)らしく
その思想と経験にはアーティスティックな感じが漂う

つまるところ
アルキテット(建築家)のあらゆる多元的要素を
すべて備えているような人である☆

そして、パルマ大学の名教授である


私は、この電話の相手に
実際には会ったことがまだ一度も無い

けれども、建築界50年間を振り返る
半自伝的な文章を翻訳したからに
この人をものすごく身近に感じている

書いたものからは、その人の見た目よりも
深い内面を知ることができるものだ


人は一生のうちに
非常にたくさんの読み物に出会う

けれども「魂をゆさぶられる」
そういうものは、滅多に無いだろう

この人の文章は
まさに、そういうものであった!☆

だから、こちらとしても
手を抜くわけにはいかなかった


さて、この文章に登場した人物を
ざっと挙げてみよう

カルロ・スカルパ
ジオ・ポンティ(デザイナー)
フランク・ロイド・ライト(アメリカの建築家)
レオナルド・ヴェネーヴォロ
ヴィットリオ・グレゴッティ(デザイナー)
ピラネージ(18世紀、ローマの景観を描いた画家)
アルド・ロッシ
ジュゼッペ・サモナ
マリオ・ボッタ
レンツォ・ピアノ
イタロ・カルヴィーノ(文学者)
グイド・マリオノッティ(社会学者)
ロラン・バルト(フランスの思想家)

などなど、である

建築以外の分野で活躍した人物、外国人は
カッコ内に記してみた

建築の枠をかなり超越した話であることが
人目でわかるだろう

この豪華なメンバーと
自分の人生とを絡めて話せるんだから
何ともスゴイではないか!☆

しかも、ほとんどの人物と実際に交流がある

訳し手がなかなか見つからなかったようで
巡り巡って私のところに来た仕事だった


ひきうけたはいいが
これほど手ごわい文章は、なかなか無いものだ

さらに強烈だったのは
「日本人向けに書かれていない」ということだった・・★

「ラテン語やギリシャ語=彼らにとっての古典」
の素養を持っているのがイタリアの教養人であるが
まさに、そういう人向けに書かれていた

だから、私も図書館に行って
分厚い古典言語の辞書を開いて
その語源にまでさかのぼる羽目になった!(笑)

信頼できる知人に力になってもらって
何度も議論しながら確認し
日本の読者たちのために「訳者注」までつけた

それでもまだ訳しきれないところが残り
インテリのイタリア人にだってわからない

つまり、書いた本人にしかわからない箇所があり
そこは何を意図しているのか
著者に直接メールで問い合わせることになった

じっくり取り組んでいることが理解されたようで
お互いのやりとりはとてもスムーズに運んだ


翻訳のエキスパートが教えてくれたが
「翻訳という仕事には人生のすべてが出る」のだそうだ

その人のクオリティが
仕事クオリティだということである

どんな仕事も極めれば
同じところに辿り着くようだ!☆


終えてみて面白いと思ったことがある

私にこの仕事が巡ってきた第一の理由は
この論考を十分に理解する人が
見つからなかったからみたいだけれど(笑)

なぜかというと
建築の領域もすごくはみ出しているけれど
建築の中で扱っている領域もものすごく幅広いからだ!

日本の建築界で
「歴史」と「デザイン」の両方を掘り下げて
そのセンスを持ち合せている人というのはあまりいない

教育体制が、細分化されてしまっているのだ・・★

その意味でも、政府と大学院の共同プロジェクトである
通称「エコ研」の活動は意義深いと思う


それで、面白いと思ったのは・・・

翻訳のプロたちから得た異口同音の評価が
ごくごくシンプルだったからだ!(笑)

「日本語が、とてもしっかりしている」
ということである

翻訳業界の視点から見れば、そういうことになる

つまり、外国語から日本語への翻訳という仕事では
たとえ内容がどんなに難解だろうがやっかいだろうが
理解するということはあくまでも大前提で
そこで問われるのは
とにもかくにも、まず「日本語力」なのである!

本当にいい経験をさせてもらった☆


いよいよ休暇明けに
手ごわいイタリア語の論考を書いたパルマの紳士に
初めて会うことになりそうだ

ハートフルで温厚な電話の声を聞いて
ますます、その気持ちが高まっている

そして何より
この縁をくれた人物に心から感謝したい☆


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by Akiko Sugesawa


↑ ローマのとある教会に飾ってあった「プレゼーピオ」
ハネムーンのHさんご夫妻と一緒に見たもの
イタリアでナターレ(クリスマス)の飾りといえば、これである!
キリストの誕生場面を再現したもので、一般家庭でも飾られ
通常、1月6日のベファーナの祭日まで


      *  *  *


Grazie mille 金澤の雫さん!ぜひ、またお越しください! →☆

Fさん、2月のイタリア旅行、楽しみですね♪
興味深いコメントまでいただき、ありがとうございます! →☆


そして皆さんへ、幸多き一年を!
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
   ☆ Felice 2009 ☆  謹賀新年     
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*  
素晴らしい旅人たちとの出会いを願って・・・


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