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コンシェルジュブログ

コンシェルジュ : 谷口 洋子
【2009年2月11日[Wed]】 海外

イタリアの美を支えるもの ~フィレンツェ工房見学~

ルネッサンス開花の街フィレンツェはまた、
古くから職人文化を脈々と継承してきた街でもあります。
シニョーリア広場やドゥオモ、ヴェッキオ橋をはじめとする
世界中からの観光客が365日溢れる街の中心地を
ひとつ裏へ曲がれば、そこには昔ながらの小さな工房が
ひっそりと佇みこの美しい街の異なる横顔を
垣間見ることが出来ます。

国鉄フィレンツェ駅地下通路に10年来掲示されている
職人工房の古びたポスターに見覚えがある方も
沢山おいでだと思います。
額縁、真鍮、銀細工や製本、手織物や家具、靴、仕立屋。
あの、決して清潔とは言えない通路を足早に歩き
横目で数々のポスターを眺める度に、
職人の「魔法の手」によりひとつひとつ誕生する作品と
それらの工房をいつの日か訪ねることができたらなぁ、と
心ひそかに思っていました。

6月までの予定で、フィレンツェ市の後援で
「Percorsi di Moda a Firenze Tra Botteghe e Ateliers」
(フィレンツェ・モーダの変遷~工房やアトリエから~)と
称する無料見学ツアーが開催されています。
家族代々ひき継がれてきた老舗工房から
新進デザイナーが起業した現代的工房まで、
26人の職人から協力を得て多彩なメニューが
用意されています。
この機会を逃す手はない!と、鼻息荒く予約をし、
先週参加してきました。

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最初の見学は、ドイツ人女性サスキア・ウィットマーさんが
営む紳士靴工房です。ベルリン生まれの彼女は
シュタイナー教育を実践する学校を出たのち、
子供時代からの夢だった靴職人の道を歩み始めます。
ハンブルグ郊外の工房で見習いに励んだあと、フィレンツェへ。
3年間師事した職人より匠と技そして<秘密>を学び、
晴れて自分の工房を持ち、今年で14年目になります。

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欧米、アジア、アラブ諸国のクライアントから寄せられる
オーダーに応じ、ひとつひとつ手作りでこしらえる上質な靴。
素材の皮革は、英国やフランスから取り寄せる子牛の皮を
はじめカンガルー、ガチョウ、ワニ、はたまた
淡水魚ペルシコの皮や、いかにもフィレンツェらしい
トリッパ(!)=牛の胃袋=を用いたものまで多彩です。

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注文から足の型採り、素材の選択、仮縫い、試着を経て
完成まで、少なくとも5ヶ月の歳月を要するとのこと。
夢のような靴は、手元に届くまでの時間にも
夢を見させてくれますね!

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流行にまどわされないクラシックな美しいデザインを持つ
上質な靴は、もはや街角で簡単に見つけることが
できなくなってしまいました。
だからこそ工房の存在価値がある、と
輝く瞳で彼女が語っていたのがとても印象的でした。

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クラシックな中に遊び心も添えて・・・

*靴工房 サスキア・ウィットマー
*Via S. Lucia, 24r, Firenze

次回は、オートクチュールのアトリエ見学についてお話します♪
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