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ひまわり咲く入学式
コンシェルジュ :
中島 美弥子
【2005年9月25日[Sun]】
ひまわり咲く入学式
9月初めから中旬にかけ、ドイツは各地入学シーズンを 迎えた。
月曜日から学校が始まり、いきなり1週間の授業が続くのでは
児童の負担も大き いため、配慮され入学式はあえて 木曜日に行うところが多い。
大きな派手なランドセルを得意毛に背負い登校する児童たち、
それを喜び一杯そして少し緊張したおもむきでつきそう親たち。
どこの国でも、大きな節目、特に小学校入学の光景は
希望と不安に満ちた様子がひしひしと伝わってくる。
長男も今年小学校へ入学した。。
9月という桜のない入学シーズン、入学準備にも熱が入らず、
季節感の違いから何か物足りなさを感じていたが、
当日、まわりの保護者、子供たちから発せられる興奮、緊張感、喜びが、
胸に響き、そして我が子のスタートラインにたつ晴れ姿に歓喜し、
成長に感謝する感動深い1日となった。
美しい春。出会いと始まりという重要な節目にはいつも、日本では桜が咲き 、
桜が舞い、桜が深く日本人の心に刻まれてきた。
(桜の開花が遅い地域もあると思うが)
欧米人にとっての 春は、イエスキリストが再生した季節。
冬に眠っていたものが、再び甦る時期。
物事の始まりではなく、復活の時。
ここでは 新年を向かえる1月、そして入学シーズンにあたる9月が
スタートの時期と考えられている。
ランドセルは、写真のような派手な色柄。恐竜、騎士、飛行機、車、花、蝶などの柄が有り、子供の好みにまかせる。料金は、100ユーロ前後 (14、000円前後)
冬は暗いうちに登校するため、ドライバーたちがすぐ気がつくようにと、安全反射帯が必ず取り付けられている。
入学式当日、手には ”Schultuete” と呼ばれる大きな左のような縦長のお菓子筒 、をかかえる。就学前、幼稚園の先生指導のもと、子供と親が作った手作り。市販品も有り。昔から続く習慣で入学のお祝いとして、親が子に贈り、中には重くない程度のお菓子、果物、小さな本 、おもちゃ、などを入れる。
私は、その他、これから大活躍するであろう目覚し時計、寒い日のための厚手の靴下などを入れた。いわゆる、入学祝い、福袋といったところ。中に何が入っているか、、子供の最大の楽しみとなる。
一見、ゆるやかに、そしてゆとりを持ってスタートする学校生活、
ところが、、、
ドイツの学校制度は、日本と違った意味でとても厳しい。
義務教育期間は、9年つまり中学3年生までであるが、
小学校4年生、わずか9才で、ほぼ進路が、将来が決まってしまうのだ。
小学校3、4年生の成績、得意分野を基に 、先生と懇談の上、親が決定する。
州によって学校システムに若干の差があり、また総合学校という分けない学校も
できているが、小学校は 1年から4年までの4年生、
その後、能力に応じ下記3進路に別れる。
1、ギムナジウムコース → 大学進学コース
(9年間、つまり小学校5年から18才 高校4年 まで)
(つまり日本より大学進学が1年遅い)
2、ハウプトシューレコース(本科学校) → 義務教育で終了、後職業見習いへ
(5年間、 つまり 小学校5年から中学3年まで)
3、 レアルシューレコース (実科学校) → 職業訓練を前提とし、後職業見習いへ
(6年間、つまり 小学校5年から高校1年まで)
成績が伴わなくとも親が、子供を大学に行かせたいと思えば、
進学コースに進む事は可能、また実科学校、本科学校へ進んだ後、進学コース
へ進路変更する事も可能であるが、授業の内容についていけない恐れが有り、
かえって人生の進路を狂わせてしまう事にもなりかねなく、
また子供もかなりの努力が必要である。
かといって、成績が悪い=職業学校へ進む わけではない。
子供たちの持つ能力を職業を前提と伸ばすことが目的。
大学進学だけが全てではなく、職人の国、ドイツでは職業訓練を重ね、
専門技術を身につければ、社会で活躍できるため、皆誇りをもって、
各学校へ通う。
受験地獄はないにせよ、早い時期に進路が決まってしまうため、親の
プレッシャーは相当である。
子供の意志が反映されないなんて、子供が持つ可能性を無視するなんて
とあまりにも早すぎる決断に、驚き、憤慨してはみるものの、
子供たちを成績によって競争させるより、個々の独自に持つ能力を
それなりに伸ばしていくという教育方針なのであろう。
根本的には分け隔てなく、能力に応じ 社会で活躍するチャンスが
与えられている。
ただ、大学進学率が増加し、ホワイトカラーとして企業就職を希望するものが
大変多くなっていることは確かである。
小学校は半日制。お昼12時過ぎに授業が終了し帰宅する。
給食制度もないので家で昼食をとる。クラブ活動もないため、市のスポーツ
同好会に加入させ、午後練習場へ親が連れていく。
親の負担を減らすため、全日制の学校も今検討 論議が行われているが、
長年の学校制度を変えることは、容易ではない。
栄養バランスが整ったおいしい給食が毎日でて、クラブ活動も先生が中心と
なって指導して下さった日本の学校は本当にいたれり、つくせりだったと
今思う。 あらためて、日本の諸先生方、学校に感謝。
スタートラインにたった新入生を見守り、歓迎するのは、
桜にかわって、ここでは ひまわり。
入学式や校内に、ひまわりが飾られる。
そして学ぶ楽しさと厳しさを味わっていく子供たちのスタートとなる
1日を、しっかり見守ってくれる。
ひまわりの季節も終りに近づき、彼らも最後の力をふり絞る。
「ほら僕達も頑張っているから、君達も頑張って!!」
子供より大きな、そしてどうどうとしたひまわりが、
まるでそう語りかけているようだ。
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ひまわり咲く入学式
月曜日から学校が始まり、いきなり1週間の授業が続くのでは
児童の負担も大き いため、配慮され入学式はあえて 木曜日に行うところが多い。
大きな派手なランドセルを得意毛に背負い登校する児童たち、
それを喜び一杯そして少し緊張したおもむきでつきそう親たち。
どこの国でも、大きな節目、特に小学校入学の光景は
希望と不安に満ちた様子がひしひしと伝わってくる。
長男も今年小学校へ入学した。。
9月という桜のない入学シーズン、入学準備にも熱が入らず、
季節感の違いから何か物足りなさを感じていたが、
当日、まわりの保護者、子供たちから発せられる興奮、緊張感、喜びが、
胸に響き、そして我が子のスタートラインにたつ晴れ姿に歓喜し、
成長に感謝する感動深い1日となった。
美しい春。出会いと始まりという重要な節目にはいつも、日本では桜が咲き 、
桜が舞い、桜が深く日本人の心に刻まれてきた。
(桜の開花が遅い地域もあると思うが)
欧米人にとっての 春は、イエスキリストが再生した季節。
冬に眠っていたものが、再び甦る時期。
物事の始まりではなく、復活の時。
ここでは 新年を向かえる1月、そして入学シーズンにあたる9月が
スタートの時期と考えられている。
ランドセルは、写真のような派手な色柄。恐竜、騎士、飛行機、車、花、蝶などの柄が有り、子供の好みにまかせる。料金は、100ユーロ前後 (14、000円前後)
冬は暗いうちに登校するため、ドライバーたちがすぐ気がつくようにと、安全反射帯が必ず取り付けられている。
入学式当日、手には ”Schultuete” と呼ばれる大きな左のような縦長のお菓子筒 、をかかえる。就学前、幼稚園の先生指導のもと、子供と親が作った手作り。市販品も有り。昔から続く習慣で入学のお祝いとして、親が子に贈り、中には重くない程度のお菓子、果物、小さな本 、おもちゃ、などを入れる。
私は、その他、これから大活躍するであろう目覚し時計、寒い日のための厚手の靴下などを入れた。いわゆる、入学祝い、福袋といったところ。中に何が入っているか、、子供の最大の楽しみとなる。
一見、ゆるやかに、そしてゆとりを持ってスタートする学校生活、
ところが、、、
ドイツの学校制度は、日本と違った意味でとても厳しい。
義務教育期間は、9年つまり中学3年生までであるが、
小学校4年生、わずか9才で、ほぼ進路が、将来が決まってしまうのだ。
小学校3、4年生の成績、得意分野を基に 、先生と懇談の上、親が決定する。
州によって学校システムに若干の差があり、また総合学校という分けない学校も
できているが、小学校は 1年から4年までの4年生、
その後、能力に応じ下記3進路に別れる。
1、ギムナジウムコース → 大学進学コース
(9年間、つまり小学校5年から18才 高校4年 まで)
(つまり日本より大学進学が1年遅い)
2、ハウプトシューレコース(本科学校) → 義務教育で終了、後職業見習いへ
(5年間、 つまり 小学校5年から中学3年まで)
3、 レアルシューレコース (実科学校) → 職業訓練を前提とし、後職業見習いへ
(6年間、つまり 小学校5年から高校1年まで)
成績が伴わなくとも親が、子供を大学に行かせたいと思えば、
進学コースに進む事は可能、また実科学校、本科学校へ進んだ後、進学コース
へ進路変更する事も可能であるが、授業の内容についていけない恐れが有り、
かえって人生の進路を狂わせてしまう事にもなりかねなく、
また子供もかなりの努力が必要である。
かといって、成績が悪い=職業学校へ進む わけではない。
子供たちの持つ能力を職業を前提と伸ばすことが目的。
大学進学だけが全てではなく、職人の国、ドイツでは職業訓練を重ね、
専門技術を身につければ、社会で活躍できるため、皆誇りをもって、
各学校へ通う。
受験地獄はないにせよ、早い時期に進路が決まってしまうため、親の
プレッシャーは相当である。
子供の意志が反映されないなんて、子供が持つ可能性を無視するなんて
とあまりにも早すぎる決断に、驚き、憤慨してはみるものの、
子供たちを成績によって競争させるより、個々の独自に持つ能力を
それなりに伸ばしていくという教育方針なのであろう。
根本的には分け隔てなく、能力に応じ 社会で活躍するチャンスが
与えられている。
ただ、大学進学率が増加し、ホワイトカラーとして企業就職を希望するものが
大変多くなっていることは確かである。
小学校は半日制。お昼12時過ぎに授業が終了し帰宅する。
給食制度もないので家で昼食をとる。クラブ活動もないため、市のスポーツ
同好会に加入させ、午後練習場へ親が連れていく。
親の負担を減らすため、全日制の学校も今検討 論議が行われているが、
長年の学校制度を変えることは、容易ではない。
栄養バランスが整ったおいしい給食が毎日でて、クラブ活動も先生が中心と
なって指導して下さった日本の学校は本当にいたれり、つくせりだったと
今思う。 あらためて、日本の諸先生方、学校に感謝。
スタートラインにたった新入生を見守り、歓迎するのは、
桜にかわって、ここでは ひまわり。
入学式や校内に、ひまわりが飾られる。
そして学ぶ楽しさと厳しさを味わっていく子供たちのスタートとなる
1日を、しっかり見守ってくれる。
ひまわりの季節も終りに近づき、彼らも最後の力をふり絞る。
「ほら僕達も頑張っているから、君達も頑張って!!」
子供より大きな、そしてどうどうとしたひまわりが、
まるでそう語りかけているようだ。