バルカン半島と聞くと、馴染みがない感じがするかもしれませんが、
実はイタリアの東側(後ろ腿にあたる)アドリア海を隔てたお隣の国。
気候も人も穏やかで、大らかな自然、古代遺跡や中世の街並み、
美味しいものに溢れたクロアチアへようこそ!
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春夏(5月~9月頃)にオススメしたいのは、数字の「7」の形をなぞる「海→内陸→海」のクロアチア満喫ルートです。
まずは地図を広げて、飛行機のない時代を想像してみましょう。
中世の海洋都市国家で「アドリア海の女王」と呼ばれたヴェネツィア共和国は、アドリア海の最奥に位置し、地中海交易で栄えました。
ライバル都市国家が点在するイタリア側を避けて、島が多く波が穏やかな現在のクロアチアの海岸線に補給のための港町を点々と築いたのです。
ヴェネツィアから船出した商人が最初に目にする陸地は、そう、アドリア海に大きく突き出たイストラ半島です。
丘の上に建つ聖エウフェミヤ教会が美しい港町ロヴィニは、実はヴェネツィアからスピードフェリーで3時間半から4時間の距離。
日本からのアクセスも比較的よく、街全体が魅力に富むヴェネツィアは、旅の出発点として申し分なしです。
ロヴィニを起点に、北へバスで1時間のポレチュは、古代ローマ時代の都市設計に基づく街並みと、ビザンチン様式のモザイクが残る世界遺産のエウフラシウス聖堂で有名な町です。
ロヴィニから南へバス1時間のプーラには、1世紀に建てられた、ローマのコロッセオを彷彿させる円形劇場や、アウグストゥス神殿をはじめとするローマ遺跡があります。
そのイストラ半島から東にどんどん内陸部へ向かうと、クロアチアの首都ザグレブに到着です。
隣り合う二つの丘が対になった旧市街は中世の街並みが美しく、博物館や美術館も数多い、クロアチアの文化的な中心地です。
町にはトラムが走っていて便利ですが、坂の多い旧市街では自分の足が頼りなので、この地方の特徴である、煮込みやカツレツ、グリルなどの肉料理でスタミナを補給して歩きましょう。
ザグレブから今度は数字の7にならって南西方向、地図では左下方向へ向かいましょう。
海岸線に到達する手前、ボスニア・ヘルツェゴビナ国境付近の、世界自然遺産「プリトヴィツェ湖群国立公園」は必見スポットです。
大小16の湖が92ヶ所の滝で繋がり、所要時間や体力に合わせたハイキングコースや遊歩道、遊覧船、エコロジーバスも充実しています。
中国の九寨溝と同様に石灰岩のカルスト地形が生み出した絶景です。
海岸線に戻ったら、アドリア海最大の港町であるスプリトで荷ほどきを。
ここは、3世紀末にローマ皇帝ディオクレティアヌスが政治から引退し、故郷に戻って隠棲するために建てた宮殿が都市の起源です。
旧市街のディオクレティアヌス宮殿を中心とした歴史的建造物群が世界遺産に登録されています。
アドリア海沿岸のみならず中欧でも最も保存状態のよいロマネスク=ゴシック建築群がある古都トロギール(世界遺産)、石造建築の教会としては世界で一番大きな聖ヤコブ聖堂(世界遺産)を擁するシベニクと、スプリトの日帰り圏内には世界遺産が目白押しです。
右手に海を眺めながら海岸線沿いをさらに南下すれば、どこから眺めても絵になるオレンジ色の屋根瓦と、碧い海とのコントラストが魅力の城塞都市、ドゥブロヴニクです。
世界遺産に登録された旧市街の滞在で旅を締めくくります。