中央ヨーロッパに位置するハンガリーは、歴史地区が世界遺産に登録されている首都ブダペストがよく知られていますが、
今回はブダペストを離れて、大平原での観光や温泉、ワインを満喫する、体験型のハンガリーの旅をご案内いたします。
ホルトバージ国立公園
騎馬民族伝統の馬術ショーと奇跡のワイン
国土の東部と南部に広がるハンガリー大平原の中でも、湿生植物や野鳥の多いことから国立公園に指定されているホルトバージは国土の3分の1を占める肥沃な大平原で、1999年に世界遺産に登録されています。
ここでは伝統的な馬術ショーが楽しめます。
騎馬民族の伝統、馬との一体感が感じられるハンガリーならではの馬術ショーです。
数頭の騎乗でのポーズや、馬のお座りなどは驚きと感動です。
騎馬遊牧民マジャール人の面目躍如といったところ。
その後、チェコとの国境に近いハンガリー北東部の小さな町、トカイを訪ねます。
フランスのソーテルヌ、ドイツ・フランケン地方のトロッケンベーレンアウスレーゼと並んで、世界三大貴腐ワインのひとつとして名高いトカイワインの産地です。
2002年に一帯がユネスコの世界遺産に登録されています。
ウィスキーやブランデーのような濃い琥珀色をしており、その輝き、香りにうっとりさせられます。
数々の王侯貴族を虜にした黄金のワイン、濃密で上品な甘みは感動的です。
女帝マリア・テレジアが黄金色に輝く貴腐ワインに金が含まれているのではないかと思って、ウィーン大学で分析させたという逸話が残っています。
ヘーヴィーズ湖とバラトン湖
温泉湖で浮いてみる
ハンガリー西部に位置するヘーヴィーズ湖は、湖全体が温泉というユニークなスポットです。
浮き輪を借りて広々とした湖をのんびりぷかぷかと漂います。
水温は35度、夏は湖面に睡蓮の花が浮かんでいます。
その後は、ハンガリーの海といわれるバラトン湖へ。
中欧最大面積のバラトン湖は、国際的な保養地として知られ、湖水浴とナイトライフで賑わいます。
バラトン湖北岸で栽培されるチョパクのワインは、ハンガリーワインの代表格である上質な白ワイン。
上品で軽めで、香り高いエレガントな味わいは、名物の魚料理、スズキのフライ、マスの燻製、名産のチーズと相性抜群です。
エゲルとミシュコルツ
エゲルの石灰温泉、洞窟温泉タポルツァ、そして美女の谷
ハンガリー東部の人気の温泉を2カ所ご紹介します。
まずはエゲルサローク。トカイと並ぶハンガリーのワイン産地エゲルは、ワイン以外の観光も魅力的な町です。
ブダペストからも片道約2時間の距離なので、日帰り観光も可能。
近郊のエゲルサロークはトルコのパムッカレのような温泉で、1900平方メートルの敷地内には、湧き出た温泉の成分が固まった白い石灰の棚が連なり、あたりには硫黄(正確には硫化水素)の匂いが漂います。
日本人好みの温泉といえるでしょう。
続いて、ミシュコルツから南西4キロの距離に位置する街ミシュコルツ・タポルツァにある洞窟温泉。
日本のバラエティー番組で取り上げられたこともあり、観光客も多く訪れています。
洞窟温泉内部にはジェットバスや打たせ湯など様々な施設があり、神秘的なムード。
また多くのハンガリーの温泉施設と同じ様に、屋外プールも用意されており、お好みで選べます。
エゲル中心部から少し離れた「美女の谷」には、ワイン好きなハンガリー人が集います。
この一帯は、小さな窪地に100以上のワインセラーがずらりと並び、試飲のサービスがあるセラーもたくさんあります。
ここでワインをたくさん飲んで酔っぱらうと、どんな女性でも美女に見えるから「美女の谷」と呼ばれるようになったとのことです。
また、エゲルを代表する赤ワインは「牡牛の血」と呼ばれています。
16世紀にオスマン帝国軍が攻め込んで来た際に、ハンガリー軍が牡牛の血を飲んでいるのを見て、怖れて撤退したという逸話が残っています。
血と見間違うほどに濃い赤色が特徴のワインが、エゲル名物の「牡牛の血」で、ハンガリーで人気のワインです。