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南米大自然

有名スポットももちろん素晴らしいのですが、まだあまり観光地化が進んでいない小さな町や村を訪れ、大自然とそこに暮らす人々の暮らしを垣間見るのも、南米旅行の楽しみです。
トラベルコンシェルジュ 深山哲夫

パラグアイ カアクぺの巡礼

私が住むパラグアイでは、12月8日の日曜日はカアクぺ聖母の日の祝日でした。
首都アスンシオンから約50㎞のカアクぺの地に、パラグアイのカトリックの総本山といわれる大聖堂があります。
古い言い伝えによれば、ある日、キリスト教に改宗した先住民の青年が狩りに出かけたところ、敵対する部族と遭遇しました。もし見つかれば無事に帰れないというピンチに陥りましたが、大木の裏に隠れて聖母に祈ったところ、奇跡的に難を逃れることができました。
彼は聖母に深く感謝し、その木の一部をとって後日、小さな聖母像を彫り、ここカアクぺに礼拝堂を建てました。これが今のカアクぺ大聖堂の起源とされています。
やがて、カアクペに巡礼すると願いが適うと言われるようになっていきます。

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Diario ABC Color [CC BY-SA 4.0], via Wikimedia Commons

今では毎年12月8日朝にカアクぺ大聖堂で行われるミサを目指し、パラグアイ全国から何十万という人々が巡礼します。
巡礼は基本的に徒歩で、朝のミサに参加するため夜通し歩き、大聖堂の前の広場で仮眠してミサに臨みます。遠くから自転車で来るグループもいます。ただ、最近では手前の町までバスで行き、最後の10㎞くらいだけ歩くという人も多いです。
信心深いのは決してお年寄りだけではなく、若いグループも多いです。この時期は過酷な暑さで、暑さを避ける意味でも夜中に進みます。
人々の願いは健康、病気の治癒、仕事の成功など、さまざまです。



私は信者ではないのですが、数年前にサイクリストの友人カップルと、アスンシオンから自転車で出かけました。
途中、暑さと上り坂で友人の彼女が音を上げてしまい、結局、彼ら2人は自転車を断念して地元民にピックアップトラックを頼んで送ってもらい、私だけ一人自転車でゴールを目指しました。
暑さの中、無事にカアクぺへ到着、友人達と合流。
帰路には雨に降られ、ほうほうのていで深夜帰宅になりましたが、何とかやりとげたという苦い思い出があります。

話は逸れましたが、普段はうかがい知れない、この国の人々の信心深さを目の当たりにした週末でした。
カアクぺの日が終わるとクリスマスと新年はもうすぐ。暑い夏がまだまだ続きます。


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